Stareatphenix -一ノ瀬芳葵-

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『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』をめぐるインタビュー 第一弾「Hybrid Library主宰 弥生肇さん」

一日が短く感じる今日この頃。

私は今日も社会保険の手続きです。

 

いや、そんな話はどうでも良く、今回は『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』発売記念ということで、関係者インタビュー(第一弾)を行いたいと思います。

 

『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』が発売されてから日が経ちました。ちらほらとネットで感想も頂けております。ありがたい限りです。様々な受け取り方をされているようで、書いた甲斐があったと安心しております。

 

目に付いた感想については、またこの場で取り上げさせていただくかもしれません。

 

本日は、Hybrid Libraryの主宰で『ダイヤモンドダスト~灰になった物語~』の作者でもある、弥生肇さんに本作について色々とインタビューをさせていただきました。

Hybrid Libraryに秘められた想いやレーベルを立ち上げた本音(!)も聞けるかもしれません。
それではよろしくお願いします。
(敬称略です)

 

 

「もどかしさ」とその正体を探り続けたプロットと初稿


一ノ瀬「まず、この作品のプロットを提出したのが2015年の初めくらいだったと記憶しているんですが、最初にこの話を読んだ感想というか、印象はどのようなものでしたか?」


弥生「簡単に言えば、『惜しい』『もどかしい』でした。プロット初見時は、震災という大きくてデリケートな題材を使う決断をよくできたなと驚きました。ただ、その題材を活かせるほどにテーマがくっきりしてなかった。菜津美がなぜ毎日に疲れているのか、なぜ物語のラストで救いを感じるのかが、プロットでは漠然としていました。初稿でも、その漠然とした感覚は消えませんでした。(ここから先の感想は、このあとの質問で答える形になります)」


一ノ瀬「正直、ハイブラリーがラノベに重点を置いて作品をリリースしている中、この作品を出すことにためらいはありませんでしたか?」


弥生「はいぶらりーがラノベに重点を置いているように見えるのは意図しているわけではなく、結果的にそうなっているだけですね。私が今までライトノベル合同誌をやっていて、その縁の人たちで始めたので、はいぶらりーがラノベ書きばかりというだけなのです苦笑。だから、毛色の違う作品はむしろ大歓迎でした。」


一ノ瀬「初稿の段階で、何か『ここが惜しいな』とか『ここをこうしたらもっと良いのにな』とか、無数にあると思うのですが、強いてあげるとするならばどの部分でしょうか?」


弥生「最初の質問の回答の掘り下げになりますが、『主人公の変化の小ささ』が劇を小さくしてしまっていると思いました。プロットの段階では、菜津美がただ受験や毎日に疲れてるどこにでもいそうなネガティブな学生でした。そして結末は、その菜津美が『祖父の大切なこと』に触れ、『よし、がんばって受験しよう』と決意するだけ。せっかく、大震災という未曾有の規模のできごとと祖父の『大切なこと』という題材を用意してあるのに。

だからもっと、菜津美がなぜネガティブなのかを物語として作り込んで欲しかった。そして、その菜津美をネガティブに堕とした何かを浄化するような結末、心境の変化を描いて欲しかった。プロットのやり取りを経た初稿では、それがほんのりと取り込まれていました。(続きは二稿の問いで)」

 

 

響かない物語と「炎の朱入れ」によって出来上がる修正稿

 

一ノ瀬「初稿はそれはもうひどいものでしたね。まず、読んでいて一番『ひどい』と思ったのはどういった部分でしょうか。」


弥生「内容面は先ほどの問いで答えたように、菜津美の変化が物語として弱かった点です。そして内容以外では……文章面でしょうか。『てにをは』や主語の扱いなど。厳しい言い方をしてしまえば、『まったく推敲せずに送ってきたのだろうか?』と感じてしまう水準の文章があまりにも多かったです。」


一ノ瀬「何か初稿と二稿で印象が違った場面や描写はありましたでしょうか?」


弥生「初稿と二稿では、劇的に変わりました。物語に芯を通すような数行が書き足されたと感じました。それは『救いとはなにか』です。もちろん一般的な『救い』ではなく、本作における菜津美にとっての救い、です。それはひどく主観的なものかも知れませんが、主観的に強烈な変化を見せるからこそ、ユニークな物語・主人公になりますし、それを読者は見て、共感したり首を振ったり、自分はどうだろうかといろいろ考えるのだと思います。」


一ノ瀬「実は初稿の段階で私は自ら参考文献を選んで、当時の状況について克明に再現をしようと努力しました。それで、二稿に取りかかる前に弥生さんからもう一冊、参考文献をお借りしたんですね。」

 

こちらです↓

東日本大震災 警察官救援記録 あなたへ。

東日本大震災 警察官救援記録 あなたへ。

 

 

一ノ瀬「弥生さんはどういった経緯からこの本を入手されたのでしょうか。また、本作にどんな影響が加えられると考えておりましたか?」


弥生「この本を知り入手したきっかけは、この本の編集者であるたらればさん(@tarareba722)が、Twitterでこの本についてつぶやいてるのを見かけて興味を持ったからです。影響についでですが、『手記の伝えてくる体験談の臨場感や熱量は本物だ』と知っていたからです。

私個人の話になりますが、友人と旅行で気仙沼を訪れた際に、とあるトレーラーハウスに泊まりました。そこは、被災した方が、津波で更地になってしまったかつて自分の家があった場所でやっている宿泊施設でした。その方は地域での手記集のようなものを作っておられて、ご家族を何人か亡くされたご自分の話を含め、たくさんの被災者や現場で尽力した人たちの体験したことが、ありのままに込められていました。私は泊まった夜、ほとんど徹夜になりながら読破してしまいました。私はそれを読んで初めて、震災の衝撃を具体的に知った気がしました。本作で震災を扱うならば、出てくるエピソードや人物にも、それだけの重みや臨場感を持たせて欲しい。そう思って、一ノ瀬さんに本書を薦めました。」


一ノ瀬「大変参考になりました。私も何冊か文献にはあたらせていただいており、それがこちらの二冊となりますが、

 

巨大津波――その時ひとはどう動いたか

巨大津波――その時ひとはどう動いたか

 

 

東日本大震災 2011・3・11「あの日」のこと

東日本大震災 2011・3・11「あの日」のこと

 

 

震災時にあの場所で起きていたことが分かり、またこのうちの一冊は普段は戦場で写真を撮っていらっしゃる方が出しておられて、情景や風景について余すことなく参考にさせて頂いたのですね。ただ、弥生さんの本をお借りして目を通してみて、そこには多くの人の声が詰まっていることに気づきました。震災当時から一年、二年……それくらいの時間では出てこなかった、整然としながらも何かを伝えなければいけないという必死の思いが文献から伝わってきました。登場人物に血肉が通うきっかけとなってくれたような気がします。ありがとうございました。」

 

 

「やれることは全部やろう」が合言葉だった

 

一ノ瀬「かなり第二稿には苦戦をしまして、ここで二ヶ月ほどかかってしまった記憶があります。弥生さんの朱入れも子細に渡り、Skypeで何度も指摘箇所を検討しながら直した覚えがあります。『てにおは』の使い方と用語の適切さに至るまで、かなり詳しくやりましたね。私は紙の辞書を使いながら頭を悩ませました(笑)。ぶっちゃけた話、弥生さんの方ではだるくなかったですか?」


弥生「だるいだるくないで言えば、だるかったです笑。でも、『ここはこうした方がもっとよくなるんじゃない?』と思うところは、全部言いたくなってしまうので……。また、読者が『うわ、下手な文章だな』『読みにくいな』と思った場合、それは読者には一ノ瀬さんの文章が下手だと映るかも知れない。でもそうなってしまうのは、編集校正として私が関わっている以上、作家が悪いんじゃなくて私が悪いんです。私はそう考えます。だから、『こんなに口うるさく言ったら嫌われるかもな』と思いながら、でも思いつく限りのことはやろうと思っています」


一ノ瀬「そうして最終稿が完成した訳ですが、出来たものを読んでみて『ここは一ノ瀬のやつ一人じゃ、絶対に出来なかっただろ!』と弥生さんが誇れる箇所はどの辺りですか?」


弥生「そこまで大口をたたける部分は、たぶんありません苦笑。強いて言えば、コミュニティハウス周りの描写をうるさく言って足したり削ったり書き直したりしてもらった辺りでしょうか。シーンが切り替わったりすると、適切なタイミングで読者が場面を思い描けるだけの描写が必要、と私は考えています。この必要十分加減がとても難しいのですが。」


一ノ瀬「最終稿がこちらで出来上がってから結局聞けなかったことがあるのですが、この作品のお気に入りの一文はありますでしょうか? 理由もお聞きしたいです。」


弥生「先ほども触れた『物語に芯を通す』文章。序盤で、菜津美に彼女の祖母が言うセリフです。

「この世界のどこかにきっと居場所があるんだと思うの。死んでしまったら、そういう場所に行く。それが私の楽しみの一つ、かしらね」(“私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて”.Hybrid Library、2015)

 

菜津美ちゃんのような人と出会えた人間の、全ての救いになるような、特別の場所」(“私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて”.Hybrid Library、2015)

 

抽象的で、ここだけ抜粋してもよくわからないでしょう。菜津美もこのシーンでは祖母の言葉を理解できません。

でも物語の最後に、菜津美は自分なりの答え=救いを見出します。冒頭のこの部分が、とても印象に残りました。余談ですが、私は物心つくまえに祖父母全てが亡くなり(そもそも私が生まれたときに祖母一人しか生きてなかった)、祖父母と会話した記憶がほぼありません。だから、こういう会話をおじいちゃんやおばあちゃんとするということ自体に、とても憧れがあります。」


一ノ瀬「ありがとうございます。仰られる通り、二稿の冒頭でその文章は書き足されました。二稿では弥生さんの朱入れに対応するだけでなく、『物語として筋が通っているとしたら、それをより響かせるにはどうしたらいいだろう』としょっちゅう考えていた気がします。その思い悩みの後に冒頭を整理して、そしてこの会話を突っ込んだのですね。ここが最後と引っかかって何らかの仕掛けになればという願いがありました。通じて頂いたようで感謝しかありません」

 

 

Hybrid Libraryの今後と「作家」弥生肇

 

一ノ瀬「あえて、デリケートな話題に突っ込みますが、かつて弥生さんの編集というか朱入れについてかなり批判の声が高かった時期がありましたね。それまで合同誌で弥生さんが編集をする場合、そこまで厳しく朱入れはしていなかったですね。今回、ハイブラリーをやるにあたって、そこまで厳しい方針をとった理由は何ですか? これまでのような合同誌のやり方を、電子書籍に持ってこなかったのはどうしてですか?


弥生「これまでの紙の合同誌でやっていた『ライトノベル合同誌Hybrid!シリーズ』では、『明確な誤字脱字・誤用を直す』『ストーリー展開上、明らかに矛盾している・おかしい・つまらなすぎる』部分だけを指摘するような編集をしていました。見て見ぬ振りをしていた改善点(と私が考えるもの)は山ほどありました。そうしていたのにはいくつか理由があって、

 

①時間リソース的な制約

 とてつもない量の原稿(参加人数が多かった)を印刷所入稿〆切までに捌かないといけない。しかも作家はなかなか〆切を守らない、守れない(契約に基づいた仕事ではない同人活動なので、私は作家に〆切を強制せず、最大限相手に合わせるスタイルでした)。

 

②同人という甘えや葛藤

 発表の場がコミケコミティア中心で、明確な同人誌でした。そのため、極限までクオリティを高めなくてもいいやという甘えがありました。作家と衝突するリスクを取ってまで細部に踏み込んで改善したくなかった。私が折れたり大きなトラブルが起きたら合同誌まるまる発刊できなくなり、何十人もの参加者の努力が水の泡になる可能性もある。だから、「この作品はつまらない」=「作家が悪いと読者に映るかも知れないけど、本当は編集が悪い」本を、甘んじて出していました。

ですが、はいぶらりーなら、上記の事情が全て変わります。

 

電子書籍に入稿〆切はありません。

 お詫びをして発刊を遅らせてクオリティアップに努めても、主宰の私がなじられ、作家一人が遅いと言われるだけで、他者への影響は合同誌ほどではありません。もちろん遅延が大きくなったり、繰り返せばレーベル自体の評価が下がっていくので望ましくないですが、私は少々の遅延回避よりも、作品の品質改善を優先したい。それが、合同誌ではなく電子書籍の単刊形式ならできます。

 

②発表の場が、Amazon Kindleです。

 これは商業作品と完全に同列の棚に並んでいる状況です。ここで商業作品と戦えるだけの本を出したいと思っています。『セルフパブリッシングなんてどうせ商業本に比べたら大したことないだろ』という印象を吹き飛ばし、可能ならば、『商業出版社は流行のものばかり出してるけど(慈善事業じゃないから必要なのはわかってます)、このレーベルの本なら意欲作があるじゃん』と思わせたいんです。これは、利益を追求しなくていいはいぶらりーやセルフパブリッシングにしかできないことです。でも利益を追求せずに面白い作品を普及させたいからって、無料や安売りばかりやってると……セルフパブリッシング業界全体の首が絞まると私は考えます。

 

私はこの活動で大儲けしようとは思ってません。ただ、『セルフパブリッシングにも、ちゃんとお金を払うだけの、商業に負けない価値ある本がいっぱいあるんじゃん』という空気を作りたいんです。そういう覚悟、矜恃があるからこそ、作家との衝突をしまくってでも、作品のクオリティを思いつく限り引き上げたい。そして、それをそれなりのお値段で売りたい。そう考えています。ていうか、もっと売れないと、赤字過ぎて、死んじゃう……吐血。」


一ノ瀬「私が思うに、弥生さんは編集であり作家であることから、いわゆる一般的な『編集者』のイメージとは違う役割を持っているように感じられました。編集者であることと、作家であること。その二つの立場を分けて他の作品に携わっているのですか? それとも、作家の時は作家、編集の時は編集、と切り替えてやっているのですか?」


弥生「基本的に、あまり分けてやっていません笑。他の人の作品を編集するときも、自著を推敲・改稿するときも、考えていることは同じです。ただ、次の質問に絡みますが、話の筋や設定には極力口を出さないようにしている。自著の改稿だったら、お話の筋も設定も必要あればガンガン変えます。」


一ノ瀬「弥生さんは作家視点だなあと思う時があって、それは何故かと言うと、ほとんど弥生さんは話の筋や設定について、書き手に委ねてしまうじゃないですか。一応指摘はするけれど強制はしない。これが完全に編集の目線になると、私の企画は『こんな作品は売れないから止めて下さい』の一言で終わってしまったような気がしました。今後、完全に編集に徹するというヴィジョンはありますか?」


弥生「作家視点というか、作家の気持ちがある程度わかるから、でしょうか。話の筋をどうするか、設定をどうするかは、作家性と密に関わる部分だと思います。もっというと、何を面白いと感じるかもそうです。更に言えば、読者が何を面白いと感じるかも、読者一人一人違います。ここで商業出版の編集なら、『売れるかどうか』を重要視して、最大公約数を取るような道へ持っていくのが基本的な営利行為です。でも私はその行為を、それほど面白いと感じないんです笑。営利行為をやりたいんだったら、誰かの作家性を減じたり殺したりしなくても、他の業種でいくらでもできます(注:商業出版に関わる編集職の方を悪く言うつもりは全くありません。作家性を殺すどころかさらに伸ばしつつヒットさせて利益を生み出す方もたくさんおられるでしょう。そういった方々に比べれば、私はまだまだ未熟です。そんな私が営利を追求したら作家にとって大変なことになるでしょう)。

作家という人種は、エゴや己の書きたいものを書くのが本懐だと私は思っています。だったら、幸いにも営利を追求しなくてもいいはいぶらりーは、それを最大限大事にしたい。そういう作品には、先ほどの手記の話じゃないですが、その作家だけが語れる物語と熱がこもると思うんです。これは、面白い/面白くないとは別の、ユニークな価値だと考えます。そして私自身も、そういうのを書き残すことをライフワークとしたい。だから、編集一本になることはないと思います。というか、本当は作家一本になりたいんですけどね。どうしてこうなった。はいぶらりー、やめてもいいです?笑」


一ノ瀬「なんてことを……。そ、そうだ、ここはエゴを貫き通して、はいぶらりーから『タイヤモンドダスト2』を製作すれば良いんです! 続刊という概念を覆す『続刊』を!

ダイヤモンドダスト: ―灰になった宝物― (Hybrid Library)

ダイヤモンドダスト: ―灰になった宝物― (Hybrid Library)

 

 

 

そう言えば、はいぶらりーには今後、続刊の出る作品もあるとかないとか風の噂でお聞きしたのですが、『タイヤモンドダスト2』を含めて続刊として何かを発行されるご予定はありますか?」


弥生「『ダイヤモンドダスト2』、実は構想はあります。イラストを描いて頂いたkyuriさんにも、その際はまたお願いしたい旨を話して了承頂いています。ですが、今は編集すべき原稿をあまりにも溜めてしまっている状態で(2ケタ近く、はいぶらりーは編集待ち・刊行待ちの作品があります)、自分のオリジナル小説を書く時間が全く取れません。『艦これ二次小説書いてるだろ』って言われたら辛いんですが、あれはイラストレーターさんが落書きして気分転換するのに似ている……から、ご了承頂きたい、という性質のものです。

脱線しましたが、他に続巻候補としては、『青春くろーび2』や同作品の短編スピンオフの構想があります。でも、これも皆様の反響次第でしょうか。はいぶらりーのレーベルテーマに掲げている『作家の書きたいものを書く』ですが、2だって書きたいから書くのです。読者から『続きを読みたい、このキャラクターがどうなるのか気になる』という声が届けば、続きが『書きたいもの』になります。逆になんの声も聞こえなければ、『全然違う、もっといいものを書こう』となるかも知れない。あるいは頑固に、『俺は意地でも2を書くんだ』という人もいるかも知れない。だから私は、著者に『2を書いて』『2を書くな』という強制は一切しません。続き書けそうだなと感じたら、振ってみたりはしますが。そうそう、『ひめとり!』も、何か新しい展開があるかも知れません。『スマイル』は完全完結作品なので続編はないですが、今福エヌさんの次の作品は既に書き上がった原稿を2つ頂いています……土下座。」

 

 

青春くろーび (Hybrid Library)

青春くろーび (Hybrid Library)

 

 

スマイル (Hybrid Library)

スマイル (Hybrid Library)

 

 

 

ひめとり!

ひめとり!

 

 

一ノ瀬「既刊も好評発売中! ですね。私以上に癖のある作家陣と弥生さんのコラボが、既に何作も出ていると考えると心躍るものがあります。今後もハイブラリーは広がりを見せていくと思われますし、今度は弥生さんはどんな作者や作品を拾ってくるのだろうという楽しみも個人的にはありますが、お体には気をつけて下さいね……」

 

 

インタビューを終えて


最初は自著のアピールになればなと思ってこの企画を用意したのですが、最後はハイブラリーの行く末と言いますか、弥生さんの試みをお話いただくという場になってしまいましたね……。まあ、最初からそうなるようにしたのですが。

要するに、「電子書籍で本を出すことって何なのよ」という問いには答えが無数にあって、私自身実はそのような問題意識をあまり深刻に持ったことがなかったのですね。だからこそ、弥生さんのお力を借りて、自分自身で本を出してみれば何か分かるかもしれないという期待があったのです。

そして、本を実際に出してみる過程で、色々な方のお目にかかりました。この業界というか市場がどういうものなのかも覗き見ることが出来ました。この世界での売れっ子作家さん、パイオニアと呼ばれる方々、山師の方々……。そして、売り方についても比較検討して、いかに利益を出すかの実験も繰り返していました。

その中で掴めたことは「作品を売るとはどういうことか」というテーマでした。

真偽のほどは定かでは無いですが、同人誌に値段をつけるというのは、本来同人誌には同好の士が作っている本を交換し合うという慣習があり、「本が作れないけど同人誌が欲しい」という方が「お金と同人誌を交換する」という方法で同人誌を手に入れ始めたというのが起源である……という話を聞いたことがあります。それが嘘であれ真であれ、結局のところ、自分の作品に値段を付けるのは自分で、「これくらいの価値があるだろう」という発想から値段がつけられる……というのが建前上の同人誌の値段なのかもしれません。

ただ、実際は「儲け」のために黒字が出るよう値段を設定したり、楽しみのためにやっているから「無料」でと様々な思惑が出ています。それをとやかく言うつもりはありません。

それを含めて「自分の作品に自分で値段を付ける」という行為は、出版界ではまずないでしょう。だとしたら、いわゆるインディーズの作家の本に付けられている値段というのは、その方の自著への評価にそのまま繋がるのではないでしょうか。そんな売り手側の都合を柔らかく受け止めてくれて、買い手側はその作者の「評価」を信じて買う……。だとしたら、同人界であれ、この電書界隈であれ、一般の書籍の市場とはまた違った「価格」の文化があるのかもしれないです。

作品は、野菜や金融商品ではありません。これがまたややこしくて、「良い作品だから売れている」のか「売れているから良い作品」なのかが見えにくい場合もあります。良いというのは、どこの何と比べて良いのか。何百人の人が良いと言ったら良い作品なのか。そもそも何百人の人が良いというためには、その分売らなくてはならず、だとしたら良い以外に「良さそう」と思わせる要素が必要なのか。

たくさんのことで悩めた電子書籍でした。

作品作りではいつもいつも悪戦苦闘しておりますが、今回はそんな電子書籍と「価格」の話も混ざってきたので、思うところが多かったように思えます。

 

 

そんなこんなでインタビューはおしまいです。弥生さんにはご多忙の中、色々とお答え頂きました。

ありがとうございました。

お体には気をつけてください。時には遠回りも必要です。
「いつでも遠回りこそが最短の道だった」というジャイロ(ジョジョ七部)の名言もありますし!

 

次回はイラストを担当していただいた、イラストレーターのじゅりさんにお話をうかがう予定です。

 

↓ この素敵なイラストを描かれた方ですね

 

 

私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて (Hybrid Library)

私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて (Hybrid Library)

 

 

 

 

挿絵での試みやラフスケッチの公開も予定しております。

どうぞお楽しみに!

 

ありがとうございました!