Stareatphenix -一ノ瀬芳葵-

小説を書いたり、読書をしたり、写真を撮ったり、ゲームをしたりします。電子書籍を「ハイブリッドライブラリー」さまより出版させていただいております。Amazonからご購入いただけます。よろしくお願いします。

何かを読めば何かを思う 1

意図的に腕を痺れさせて、

感覚のなくなった小指を弄んでいると、

まるで死体に悪戯をしているような気分になった。

 

そんな詩ばかりを載せるブログでも良いかなあと思ったのですが、何か読んでいて楽しいネタがあればなあと考えた結果、私は時事問題にも明るくないし、人に教えを説くような身でもないので、読んだ本や聞いた音楽、映画についてを書いていきます。少しでも気に留まるものが紹介出来れば幸いです。

 

 

『ホーカス・ポーカス』 カート・ヴォネガット

どこかの本でスティーブン・キングが「カート・ヴォネガットは推敲の際に一枚一枚を納得いくまで手を加えた」と書いていて、その時から気になっていた作家でした。

初めは彼の『死よりも悪い運命』を読もうとしたのですが、自伝的作品と知って尻込みしてしまいました。作者自身の人生を知ってから作品を読むのは、また味わいが違いますので。

で、この本を選んだのですが、まあ、これもどこまでが創作でどこまでが実話か分からないものでした。

架空の国、架空の歴史を扱っているのに、妙にある政治思想的な部分で偏りがあったり、作者自身の怒りが書き連ねてあったり、その手の白々しさが無い。特にアメリカに批判的な内容を教えているというのが、教え子のタレコミでお偉方にバレてクビになったりというのはどうも想像では作り得ないリアリティがありました。

荒唐無稽でありつつも、それを納得させる空気がある。

自分の人生を語る時ににじみ出てしまうものなのかもしれません。

調べてみれば、この作者はこういう架空設定での自叙伝的スタイルが多いようです。自分を切り売りするというのは、一見して過酷に思えてくるのですが、この作品から漂ってくるのは底抜けの楽観主義。

怒りながらも楽しい(本人はそう思っていないようですが)人生と、フィクションの融合でした。

 

ホーカス・ポーカス

ホーカス・ポーカス

 

 

 

 

 

花咲けるエリアルフォース 杉井光

次はライトノベルです。

知人の紹介で知ったのですが、単巻完結ラノベの傑作とも言える本作です。知人が熱心に推してくるのも頷ける一冊です。出会わせてくれたその方には感謝しかありません。

日本国が二つに分かれて内戦を繰り広げる中、主人公たちはある特別な戦闘機に乗って戦場に向かいます。

主人公のへこませ方がえげつないです。

辛いこと、苦しいこと、考えなければならないこと。

こういう現実は嫌だと思っていても、自分の力じゃどうしようも無い無力感。そういったものを突きつけられた時、読者は物語に入りこんで何とかしようと思ってしまうものなのですね。久々にこういうエンターテイメント作品に出会えたような気がします。

 

 

 

 

ふしぎの国のバード 佐々大河

最後は漫画です。

基本的にこのブログでは漫画は一巻のみしか紹介しないことにします。例えば私は『ハヤテのごとく!』が大好きで毎巻買っていて、毎回ブログを書きたいのですが、それはさすがにしんどく、内容も散漫になってしまうので。

日本紀行』を書いたイザベラ・バードの物語です。通訳の伊藤さんと共に蝦夷を目指す旅をするのですが、一区切り一区切りでちゃんとテーマが設定されており、バードも伊藤さんもどこまでも目の前のことに真剣に新鮮に受け止めていて、読むこちらも飽きません。

旅というのは大抵中頃になってくると記憶が曖昧になってくるのですがね……。

この漫画の登場人物の頬がポイントです。

本当に嬉しそうな顔を、頬の赤みがしっかりと現しているのです。

どこか懐かしく、そして迫力のある喜び方を見せてくれる一冊でした。

 

 

 

おしまいです。

私は人の家に上がるとまず本棚を見る癖があります(失礼)。

その人がどういう本を読むかで人柄が分かるからです。

このブログもそんな風な役割を果たしてくれれば良いなと思います。

それでは、また。