Stareatphenix -一ノ瀬芳葵-

小説を書いたり、読書をしたり、写真を撮ったり、ゲームをしたりします。電子書籍を「ハイブリッドライブラリー」さまより出版させていただいております。Amazonからご購入いただけます。よろしくお願いします。

『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』をめぐるインタビュー 第一弾「Hybrid Library主宰 弥生肇さん」

一日が短く感じる今日この頃。

私は今日も社会保険の手続きです。

 

いや、そんな話はどうでも良く、今回は『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』発売記念ということで、関係者インタビュー(第一弾)を行いたいと思います。

 

『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』が発売されてから日が経ちました。ちらほらとネットで感想も頂けております。ありがたい限りです。様々な受け取り方をされているようで、書いた甲斐があったと安心しております。

 

目に付いた感想については、またこの場で取り上げさせていただくかもしれません。

 

本日は、Hybrid Libraryの主宰で『ダイヤモンドダスト~灰になった物語~』の作者でもある、弥生肇さんに本作について色々とインタビューをさせていただきました。

Hybrid Libraryに秘められた想いやレーベルを立ち上げた本音(!)も聞けるかもしれません。
それではよろしくお願いします。
(敬称略です)

 

 

「もどかしさ」とその正体を探り続けたプロットと初稿


一ノ瀬「まず、この作品のプロットを提出したのが2015年の初めくらいだったと記憶しているんですが、最初にこの話を読んだ感想というか、印象はどのようなものでしたか?」


弥生「簡単に言えば、『惜しい』『もどかしい』でした。プロット初見時は、震災という大きくてデリケートな題材を使う決断をよくできたなと驚きました。ただ、その題材を活かせるほどにテーマがくっきりしてなかった。菜津美がなぜ毎日に疲れているのか、なぜ物語のラストで救いを感じるのかが、プロットでは漠然としていました。初稿でも、その漠然とした感覚は消えませんでした。(ここから先の感想は、このあとの質問で答える形になります)」


一ノ瀬「正直、ハイブラリーがラノベに重点を置いて作品をリリースしている中、この作品を出すことにためらいはありませんでしたか?」


弥生「はいぶらりーがラノベに重点を置いているように見えるのは意図しているわけではなく、結果的にそうなっているだけですね。私が今までライトノベル合同誌をやっていて、その縁の人たちで始めたので、はいぶらりーがラノベ書きばかりというだけなのです苦笑。だから、毛色の違う作品はむしろ大歓迎でした。」


一ノ瀬「初稿の段階で、何か『ここが惜しいな』とか『ここをこうしたらもっと良いのにな』とか、無数にあると思うのですが、強いてあげるとするならばどの部分でしょうか?」


弥生「最初の質問の回答の掘り下げになりますが、『主人公の変化の小ささ』が劇を小さくしてしまっていると思いました。プロットの段階では、菜津美がただ受験や毎日に疲れてるどこにでもいそうなネガティブな学生でした。そして結末は、その菜津美が『祖父の大切なこと』に触れ、『よし、がんばって受験しよう』と決意するだけ。せっかく、大震災という未曾有の規模のできごとと祖父の『大切なこと』という題材を用意してあるのに。

だからもっと、菜津美がなぜネガティブなのかを物語として作り込んで欲しかった。そして、その菜津美をネガティブに堕とした何かを浄化するような結末、心境の変化を描いて欲しかった。プロットのやり取りを経た初稿では、それがほんのりと取り込まれていました。(続きは二稿の問いで)」

 

 

響かない物語と「炎の朱入れ」によって出来上がる修正稿

 

一ノ瀬「初稿はそれはもうひどいものでしたね。まず、読んでいて一番『ひどい』と思ったのはどういった部分でしょうか。」


弥生「内容面は先ほどの問いで答えたように、菜津美の変化が物語として弱かった点です。そして内容以外では……文章面でしょうか。『てにをは』や主語の扱いなど。厳しい言い方をしてしまえば、『まったく推敲せずに送ってきたのだろうか?』と感じてしまう水準の文章があまりにも多かったです。」


一ノ瀬「何か初稿と二稿で印象が違った場面や描写はありましたでしょうか?」


弥生「初稿と二稿では、劇的に変わりました。物語に芯を通すような数行が書き足されたと感じました。それは『救いとはなにか』です。もちろん一般的な『救い』ではなく、本作における菜津美にとっての救い、です。それはひどく主観的なものかも知れませんが、主観的に強烈な変化を見せるからこそ、ユニークな物語・主人公になりますし、それを読者は見て、共感したり首を振ったり、自分はどうだろうかといろいろ考えるのだと思います。」


一ノ瀬「実は初稿の段階で私は自ら参考文献を選んで、当時の状況について克明に再現をしようと努力しました。それで、二稿に取りかかる前に弥生さんからもう一冊、参考文献をお借りしたんですね。」

 

こちらです↓

東日本大震災 警察官救援記録 あなたへ。

東日本大震災 警察官救援記録 あなたへ。

 

 

一ノ瀬「弥生さんはどういった経緯からこの本を入手されたのでしょうか。また、本作にどんな影響が加えられると考えておりましたか?」


弥生「この本を知り入手したきっかけは、この本の編集者であるたらればさん(@tarareba722)が、Twitterでこの本についてつぶやいてるのを見かけて興味を持ったからです。影響についでですが、『手記の伝えてくる体験談の臨場感や熱量は本物だ』と知っていたからです。

私個人の話になりますが、友人と旅行で気仙沼を訪れた際に、とあるトレーラーハウスに泊まりました。そこは、被災した方が、津波で更地になってしまったかつて自分の家があった場所でやっている宿泊施設でした。その方は地域での手記集のようなものを作っておられて、ご家族を何人か亡くされたご自分の話を含め、たくさんの被災者や現場で尽力した人たちの体験したことが、ありのままに込められていました。私は泊まった夜、ほとんど徹夜になりながら読破してしまいました。私はそれを読んで初めて、震災の衝撃を具体的に知った気がしました。本作で震災を扱うならば、出てくるエピソードや人物にも、それだけの重みや臨場感を持たせて欲しい。そう思って、一ノ瀬さんに本書を薦めました。」


一ノ瀬「大変参考になりました。私も何冊か文献にはあたらせていただいており、それがこちらの二冊となりますが、

 

巨大津波――その時ひとはどう動いたか

巨大津波――その時ひとはどう動いたか

 

 

東日本大震災 2011・3・11「あの日」のこと

東日本大震災 2011・3・11「あの日」のこと

 

 

震災時にあの場所で起きていたことが分かり、またこのうちの一冊は普段は戦場で写真を撮っていらっしゃる方が出しておられて、情景や風景について余すことなく参考にさせて頂いたのですね。ただ、弥生さんの本をお借りして目を通してみて、そこには多くの人の声が詰まっていることに気づきました。震災当時から一年、二年……それくらいの時間では出てこなかった、整然としながらも何かを伝えなければいけないという必死の思いが文献から伝わってきました。登場人物に血肉が通うきっかけとなってくれたような気がします。ありがとうございました。」

 

 

「やれることは全部やろう」が合言葉だった

 

一ノ瀬「かなり第二稿には苦戦をしまして、ここで二ヶ月ほどかかってしまった記憶があります。弥生さんの朱入れも子細に渡り、Skypeで何度も指摘箇所を検討しながら直した覚えがあります。『てにおは』の使い方と用語の適切さに至るまで、かなり詳しくやりましたね。私は紙の辞書を使いながら頭を悩ませました(笑)。ぶっちゃけた話、弥生さんの方ではだるくなかったですか?」


弥生「だるいだるくないで言えば、だるかったです笑。でも、『ここはこうした方がもっとよくなるんじゃない?』と思うところは、全部言いたくなってしまうので……。また、読者が『うわ、下手な文章だな』『読みにくいな』と思った場合、それは読者には一ノ瀬さんの文章が下手だと映るかも知れない。でもそうなってしまうのは、編集校正として私が関わっている以上、作家が悪いんじゃなくて私が悪いんです。私はそう考えます。だから、『こんなに口うるさく言ったら嫌われるかもな』と思いながら、でも思いつく限りのことはやろうと思っています」


一ノ瀬「そうして最終稿が完成した訳ですが、出来たものを読んでみて『ここは一ノ瀬のやつ一人じゃ、絶対に出来なかっただろ!』と弥生さんが誇れる箇所はどの辺りですか?」


弥生「そこまで大口をたたける部分は、たぶんありません苦笑。強いて言えば、コミュニティハウス周りの描写をうるさく言って足したり削ったり書き直したりしてもらった辺りでしょうか。シーンが切り替わったりすると、適切なタイミングで読者が場面を思い描けるだけの描写が必要、と私は考えています。この必要十分加減がとても難しいのですが。」


一ノ瀬「最終稿がこちらで出来上がってから結局聞けなかったことがあるのですが、この作品のお気に入りの一文はありますでしょうか? 理由もお聞きしたいです。」


弥生「先ほども触れた『物語に芯を通す』文章。序盤で、菜津美に彼女の祖母が言うセリフです。

「この世界のどこかにきっと居場所があるんだと思うの。死んでしまったら、そういう場所に行く。それが私の楽しみの一つ、かしらね」(“私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて”.Hybrid Library、2015)

 

菜津美ちゃんのような人と出会えた人間の、全ての救いになるような、特別の場所」(“私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて”.Hybrid Library、2015)

 

抽象的で、ここだけ抜粋してもよくわからないでしょう。菜津美もこのシーンでは祖母の言葉を理解できません。

でも物語の最後に、菜津美は自分なりの答え=救いを見出します。冒頭のこの部分が、とても印象に残りました。余談ですが、私は物心つくまえに祖父母全てが亡くなり(そもそも私が生まれたときに祖母一人しか生きてなかった)、祖父母と会話した記憶がほぼありません。だから、こういう会話をおじいちゃんやおばあちゃんとするということ自体に、とても憧れがあります。」


一ノ瀬「ありがとうございます。仰られる通り、二稿の冒頭でその文章は書き足されました。二稿では弥生さんの朱入れに対応するだけでなく、『物語として筋が通っているとしたら、それをより響かせるにはどうしたらいいだろう』としょっちゅう考えていた気がします。その思い悩みの後に冒頭を整理して、そしてこの会話を突っ込んだのですね。ここが最後と引っかかって何らかの仕掛けになればという願いがありました。通じて頂いたようで感謝しかありません」

 

 

Hybrid Libraryの今後と「作家」弥生肇

 

一ノ瀬「あえて、デリケートな話題に突っ込みますが、かつて弥生さんの編集というか朱入れについてかなり批判の声が高かった時期がありましたね。それまで合同誌で弥生さんが編集をする場合、そこまで厳しく朱入れはしていなかったですね。今回、ハイブラリーをやるにあたって、そこまで厳しい方針をとった理由は何ですか? これまでのような合同誌のやり方を、電子書籍に持ってこなかったのはどうしてですか?


弥生「これまでの紙の合同誌でやっていた『ライトノベル合同誌Hybrid!シリーズ』では、『明確な誤字脱字・誤用を直す』『ストーリー展開上、明らかに矛盾している・おかしい・つまらなすぎる』部分だけを指摘するような編集をしていました。見て見ぬ振りをしていた改善点(と私が考えるもの)は山ほどありました。そうしていたのにはいくつか理由があって、

 

①時間リソース的な制約

 とてつもない量の原稿(参加人数が多かった)を印刷所入稿〆切までに捌かないといけない。しかも作家はなかなか〆切を守らない、守れない(契約に基づいた仕事ではない同人活動なので、私は作家に〆切を強制せず、最大限相手に合わせるスタイルでした)。

 

②同人という甘えや葛藤

 発表の場がコミケコミティア中心で、明確な同人誌でした。そのため、極限までクオリティを高めなくてもいいやという甘えがありました。作家と衝突するリスクを取ってまで細部に踏み込んで改善したくなかった。私が折れたり大きなトラブルが起きたら合同誌まるまる発刊できなくなり、何十人もの参加者の努力が水の泡になる可能性もある。だから、「この作品はつまらない」=「作家が悪いと読者に映るかも知れないけど、本当は編集が悪い」本を、甘んじて出していました。

ですが、はいぶらりーなら、上記の事情が全て変わります。

 

電子書籍に入稿〆切はありません。

 お詫びをして発刊を遅らせてクオリティアップに努めても、主宰の私がなじられ、作家一人が遅いと言われるだけで、他者への影響は合同誌ほどではありません。もちろん遅延が大きくなったり、繰り返せばレーベル自体の評価が下がっていくので望ましくないですが、私は少々の遅延回避よりも、作品の品質改善を優先したい。それが、合同誌ではなく電子書籍の単刊形式ならできます。

 

②発表の場が、Amazon Kindleです。

 これは商業作品と完全に同列の棚に並んでいる状況です。ここで商業作品と戦えるだけの本を出したいと思っています。『セルフパブリッシングなんてどうせ商業本に比べたら大したことないだろ』という印象を吹き飛ばし、可能ならば、『商業出版社は流行のものばかり出してるけど(慈善事業じゃないから必要なのはわかってます)、このレーベルの本なら意欲作があるじゃん』と思わせたいんです。これは、利益を追求しなくていいはいぶらりーやセルフパブリッシングにしかできないことです。でも利益を追求せずに面白い作品を普及させたいからって、無料や安売りばかりやってると……セルフパブリッシング業界全体の首が絞まると私は考えます。

 

私はこの活動で大儲けしようとは思ってません。ただ、『セルフパブリッシングにも、ちゃんとお金を払うだけの、商業に負けない価値ある本がいっぱいあるんじゃん』という空気を作りたいんです。そういう覚悟、矜恃があるからこそ、作家との衝突をしまくってでも、作品のクオリティを思いつく限り引き上げたい。そして、それをそれなりのお値段で売りたい。そう考えています。ていうか、もっと売れないと、赤字過ぎて、死んじゃう……吐血。」


一ノ瀬「私が思うに、弥生さんは編集であり作家であることから、いわゆる一般的な『編集者』のイメージとは違う役割を持っているように感じられました。編集者であることと、作家であること。その二つの立場を分けて他の作品に携わっているのですか? それとも、作家の時は作家、編集の時は編集、と切り替えてやっているのですか?」


弥生「基本的に、あまり分けてやっていません笑。他の人の作品を編集するときも、自著を推敲・改稿するときも、考えていることは同じです。ただ、次の質問に絡みますが、話の筋や設定には極力口を出さないようにしている。自著の改稿だったら、お話の筋も設定も必要あればガンガン変えます。」


一ノ瀬「弥生さんは作家視点だなあと思う時があって、それは何故かと言うと、ほとんど弥生さんは話の筋や設定について、書き手に委ねてしまうじゃないですか。一応指摘はするけれど強制はしない。これが完全に編集の目線になると、私の企画は『こんな作品は売れないから止めて下さい』の一言で終わってしまったような気がしました。今後、完全に編集に徹するというヴィジョンはありますか?」


弥生「作家視点というか、作家の気持ちがある程度わかるから、でしょうか。話の筋をどうするか、設定をどうするかは、作家性と密に関わる部分だと思います。もっというと、何を面白いと感じるかもそうです。更に言えば、読者が何を面白いと感じるかも、読者一人一人違います。ここで商業出版の編集なら、『売れるかどうか』を重要視して、最大公約数を取るような道へ持っていくのが基本的な営利行為です。でも私はその行為を、それほど面白いと感じないんです笑。営利行為をやりたいんだったら、誰かの作家性を減じたり殺したりしなくても、他の業種でいくらでもできます(注:商業出版に関わる編集職の方を悪く言うつもりは全くありません。作家性を殺すどころかさらに伸ばしつつヒットさせて利益を生み出す方もたくさんおられるでしょう。そういった方々に比べれば、私はまだまだ未熟です。そんな私が営利を追求したら作家にとって大変なことになるでしょう)。

作家という人種は、エゴや己の書きたいものを書くのが本懐だと私は思っています。だったら、幸いにも営利を追求しなくてもいいはいぶらりーは、それを最大限大事にしたい。そういう作品には、先ほどの手記の話じゃないですが、その作家だけが語れる物語と熱がこもると思うんです。これは、面白い/面白くないとは別の、ユニークな価値だと考えます。そして私自身も、そういうのを書き残すことをライフワークとしたい。だから、編集一本になることはないと思います。というか、本当は作家一本になりたいんですけどね。どうしてこうなった。はいぶらりー、やめてもいいです?笑」


一ノ瀬「なんてことを……。そ、そうだ、ここはエゴを貫き通して、はいぶらりーから『タイヤモンドダスト2』を製作すれば良いんです! 続刊という概念を覆す『続刊』を!

ダイヤモンドダスト: ―灰になった宝物― (Hybrid Library)

ダイヤモンドダスト: ―灰になった宝物― (Hybrid Library)

 

 

 

そう言えば、はいぶらりーには今後、続刊の出る作品もあるとかないとか風の噂でお聞きしたのですが、『タイヤモンドダスト2』を含めて続刊として何かを発行されるご予定はありますか?」


弥生「『ダイヤモンドダスト2』、実は構想はあります。イラストを描いて頂いたkyuriさんにも、その際はまたお願いしたい旨を話して了承頂いています。ですが、今は編集すべき原稿をあまりにも溜めてしまっている状態で(2ケタ近く、はいぶらりーは編集待ち・刊行待ちの作品があります)、自分のオリジナル小説を書く時間が全く取れません。『艦これ二次小説書いてるだろ』って言われたら辛いんですが、あれはイラストレーターさんが落書きして気分転換するのに似ている……から、ご了承頂きたい、という性質のものです。

脱線しましたが、他に続巻候補としては、『青春くろーび2』や同作品の短編スピンオフの構想があります。でも、これも皆様の反響次第でしょうか。はいぶらりーのレーベルテーマに掲げている『作家の書きたいものを書く』ですが、2だって書きたいから書くのです。読者から『続きを読みたい、このキャラクターがどうなるのか気になる』という声が届けば、続きが『書きたいもの』になります。逆になんの声も聞こえなければ、『全然違う、もっといいものを書こう』となるかも知れない。あるいは頑固に、『俺は意地でも2を書くんだ』という人もいるかも知れない。だから私は、著者に『2を書いて』『2を書くな』という強制は一切しません。続き書けそうだなと感じたら、振ってみたりはしますが。そうそう、『ひめとり!』も、何か新しい展開があるかも知れません。『スマイル』は完全完結作品なので続編はないですが、今福エヌさんの次の作品は既に書き上がった原稿を2つ頂いています……土下座。」

 

 

青春くろーび (Hybrid Library)

青春くろーび (Hybrid Library)

 

 

スマイル (Hybrid Library)

スマイル (Hybrid Library)

 

 

 

ひめとり!

ひめとり!

 

 

一ノ瀬「既刊も好評発売中! ですね。私以上に癖のある作家陣と弥生さんのコラボが、既に何作も出ていると考えると心躍るものがあります。今後もハイブラリーは広がりを見せていくと思われますし、今度は弥生さんはどんな作者や作品を拾ってくるのだろうという楽しみも個人的にはありますが、お体には気をつけて下さいね……」

 

 

インタビューを終えて


最初は自著のアピールになればなと思ってこの企画を用意したのですが、最後はハイブラリーの行く末と言いますか、弥生さんの試みをお話いただくという場になってしまいましたね……。まあ、最初からそうなるようにしたのですが。

要するに、「電子書籍で本を出すことって何なのよ」という問いには答えが無数にあって、私自身実はそのような問題意識をあまり深刻に持ったことがなかったのですね。だからこそ、弥生さんのお力を借りて、自分自身で本を出してみれば何か分かるかもしれないという期待があったのです。

そして、本を実際に出してみる過程で、色々な方のお目にかかりました。この業界というか市場がどういうものなのかも覗き見ることが出来ました。この世界での売れっ子作家さん、パイオニアと呼ばれる方々、山師の方々……。そして、売り方についても比較検討して、いかに利益を出すかの実験も繰り返していました。

その中で掴めたことは「作品を売るとはどういうことか」というテーマでした。

真偽のほどは定かでは無いですが、同人誌に値段をつけるというのは、本来同人誌には同好の士が作っている本を交換し合うという慣習があり、「本が作れないけど同人誌が欲しい」という方が「お金と同人誌を交換する」という方法で同人誌を手に入れ始めたというのが起源である……という話を聞いたことがあります。それが嘘であれ真であれ、結局のところ、自分の作品に値段を付けるのは自分で、「これくらいの価値があるだろう」という発想から値段がつけられる……というのが建前上の同人誌の値段なのかもしれません。

ただ、実際は「儲け」のために黒字が出るよう値段を設定したり、楽しみのためにやっているから「無料」でと様々な思惑が出ています。それをとやかく言うつもりはありません。

それを含めて「自分の作品に自分で値段を付ける」という行為は、出版界ではまずないでしょう。だとしたら、いわゆるインディーズの作家の本に付けられている値段というのは、その方の自著への評価にそのまま繋がるのではないでしょうか。そんな売り手側の都合を柔らかく受け止めてくれて、買い手側はその作者の「評価」を信じて買う……。だとしたら、同人界であれ、この電書界隈であれ、一般の書籍の市場とはまた違った「価格」の文化があるのかもしれないです。

作品は、野菜や金融商品ではありません。これがまたややこしくて、「良い作品だから売れている」のか「売れているから良い作品」なのかが見えにくい場合もあります。良いというのは、どこの何と比べて良いのか。何百人の人が良いと言ったら良い作品なのか。そもそも何百人の人が良いというためには、その分売らなくてはならず、だとしたら良い以外に「良さそう」と思わせる要素が必要なのか。

たくさんのことで悩めた電子書籍でした。

作品作りではいつもいつも悪戦苦闘しておりますが、今回はそんな電子書籍と「価格」の話も混ざってきたので、思うところが多かったように思えます。

 

 

そんなこんなでインタビューはおしまいです。弥生さんにはご多忙の中、色々とお答え頂きました。

ありがとうございました。

お体には気をつけてください。時には遠回りも必要です。
「いつでも遠回りこそが最短の道だった」というジャイロ(ジョジョ七部)の名言もありますし!

 

次回はイラストを担当していただいた、イラストレーターのじゅりさんにお話をうかがう予定です。

 

↓ この素敵なイラストを描かれた方ですね

 

 

私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて (Hybrid Library)

私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて (Hybrid Library)

 

 

 

 

挿絵での試みやラフスケッチの公開も予定しております。

どうぞお楽しみに!

 

ありがとうございました!

『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』は、面白い作品ではない

  以前からお伝えしておりましたが、この度、電子書籍にて『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』を電子書籍レーベルHybrid Library様より発売させて頂きました。当初は六月の発表を予定していたのですが、このような時期になってしまい期待されていた方には申し訳ないことをしました。ただ、その分作品の出来は良くなっていますのでどうぞお楽しみ下さい。

 

 

 

私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて (Hybrid Library)

私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて (Hybrid Library)

 

 

 

 

 いきなりタイトルの件なのですが、自分で出しておいて、しかもあらゆる人の力を借りて発表しておきながら、こう言い切ってしまうのは心苦しいのですが、本作は面白い作品ではありません。

 

 面白い作品は同じHybrid Libraryより発行されている『ひめとり!』です。エンターテイメント性の高さで言えば、この作品に敵うとは全く思っておりません。王道のライトノベルの設定に、起伏があってバランスの良いストーリー。売れ続けているのには理由があります。

 

 

 

ひめとり!

ひめとり!

 

 

 

 それならばどうしてこの作品を書いたのか。それは本作の後書きにて詳しく触れていますのでここで改めて言い直しませんが、「面白い、面白くない」の彼岸にある何らかの読者の感情を揺すりたくて奮闘しておりました。

 

 ただ、小説というのは読めば一度読者のものですから、「面白い、面白くない」と感じていただくのは、読者諸氏の自由であります。それでも私はそういう範囲で小説を語る方々とは張り合わずに、心のずっと奥深くに訴えることがしたかったのです。

 

 千人に売れるよりも、十人から感想がもらいたい。ずっとそういう思いで作品を作り続けていましたし、ヴィジュアル面に口を出させていただく時も必ず念頭に置いていたのがこのテーマです。その結果、多くの関係者にご理解をいただき、本作が出来上がりました。そんな私のわがままによって四ヶ月近くの延期があったとも言えます。その結果、本作は「面白い」ものではなくなりました。代わりに作品としての幹がひたすら太くなったように感じられます。太い幹には様々な枝葉を支える力があります。その葉っぱ一枚一枚が誰かの救いになるように、私は色々な仕掛けを作りました。編集をして下さった弥生肇さんと何度も打ち合わせをして、作品の構成を整え、細部を詰めました。

 

 その結果として出来上がったのが、この本となります。

 

 平たく言ってしまえば、この作品が面白いか面白くないか、この作品はライトノベルなのか一般文芸なのか、この作品はフィクションなのかノンフィクションなのか、この作品は詩なのか小説なのか……そういった多くの質問に容易には答えられるような作品ではないということです。是非、皆様の目で確かめてみて下さい。読後、各自で答えを探してみて下さい。

 

 ただ、一言だけ確実なのは、私はこの作品を書いていてとても楽しかったですし、幸せな思いを何度もしてきました。私の話を聞いて下さった方、意見を下さった方、どんなものであれ感謝しない日はありませんでした。だからこそ、前々から楽しみにして頂いている方の期待を裏切ってしまうのが怖く、今こうして文字を打っている間も戦々恐々としております。

 

 今回のブログは発売の発表ということで、編集の弥生さんやイラストのじゅりさんとのやり取りも含め、内容面やヴィジュアル面で色々とこのブログで公開していきたいと思っております。

 

よろしくお願いします。

記憶が危うい(『カーライルの家』 安岡章太郎)

 楽しい方々と牡蠣を食べに行った。牡蠣は海のミルクと呼ばれているらしいが、見て嗅いで味わってみても、乳製品との繋がりは見えてこないので不思議だ。調べてみると、栄養豊富ということでそういう呼ばれ方をされ始めたらしい。

 

  あとは、牡蠣の色が白っぽく、それも要因だとあった。だが、今日の牡蠣の店では「生焼けの牡蠣は食べないで、じっくり水分を飛ばして下さい」と言われたので、海のミルクとは言えど生で摂取出来ない辺り、ミルクに劣っていると言えよう。だが、綺麗に焼いた牡蠣は味わい深かった。

 

 その店は牡蠣をセルフサービスで焼いて客が食すというスタイルをとっているのだが、店員がどこか動物園や水族館で体験学習を担当しているような、粗野な部分があって職人っぽい人ばかりだった。帰りにサイゼリアに寄ったのだが、そこのチェーン店の慣れたウェイターと比べると、多くの生と死を見慣れてきたような達観した様子があった。そう言えば今日は鮮度の良いエビも出された。私はそれを見ながら、「このエビはきっと何時間前には生きていたんだろうな。あるいは今も……」と思いながら私は焼酎を飲んでいた。

 

 安岡章太郎の『カーライルの家』は、彼の交友関係を書いた『危うい記憶』と自身の留学先での体験談とカーライルについて書いた『カーライルの家』で構成されている。少し前から安岡章太郎という作家について気には成っていたのだが入りにくかった。どこが入り口か分からなかったのだ。だが、とりあえず薄いこの本を選んで読み終えた時、それがまるっきり作者のエッセイであったことを知り、先日読んだカートの『ホーカス・ポーカス』で同じであると気づいた。あれから私はカートを読もうと思わなかったが、安岡章太郎についてはこれからも追っていきたいと考えている。小林秀雄志賀直哉といった文豪たちと交流のあった安岡章太郎は、実に面白いエピソードをこの本の中で紹介している。友人の捉え方も彼独特であり、俄然、彼の書くものに興味が出てきたという風である。

 

『カーライルの家』は、安岡章太郎の亡き友人への優しい追憶と、そして感傷的では済ませない知性の輝きが目立つ一編である。友人のカーライルへの誤解を、死んだらあの世で指摘してやろう。そう言い放つ作者のユーモアと、生きているうちに彼よりも賢くなっていくという実践。私たちは死んだ者より偉大になれるかどうかは分からないが、賢くなることはきっとできる。そして、死んで食べられていった牡蠣は偉大であり、食べた私はそれよりも賢くなることを義務づけられた。牡蠣よりも賢く。明日も小説を書いて本を読もう。

 

カーライルの家

カーライルの家

 

 

何かを読めば何かを思う 2

 秋の長夜ということで夜が長いそうですが、いくら夜が長くても朝早く起きなければいけない場合は早く寝ますよね……どっちかと言うと朝の方を遅くして欲しいです。

 いや、日が沈む時間が早くなるのでさっさとお家に帰りましょうって意味が強いんですかね。

 実に牧歌的ですね。

 ですが、例えいつもより早めに帰宅してもどうせYoutube見てグダグダしているだけですしねえ。……あ、その時間で本を読めば良いのか。

 

 

『この人の閾』  保坂和志

 私が贔屓にしている作家の芥川賞受賞作。この作者は作品内をクリーンにするような空間描写が得意であり、特に庭に生えている草を街に建っているビルのように細やかに区画に分けて説明する作品もあります。読んでいて舌を巻きました。家にはどれだけの部屋があって、それがどう使われていて……というとにかく空間に細やかな気づかいのある作家です。
 その作家の初期作は、まるで氏の今後の小説を暗示するかのようなものでした。人が人に対して持っている「場」の感覚、どこまでがその人で、どこまでが他人なのか、それは決して「肌の下」がその人であるというような解決法ではありません。空気や関係性までも包括して、その人の領域を描写するのです。
 このお話は、古い知り合いが結婚して人妻になっており、主人公は彼女を訪ねて近況の話をします。そこから古い知り合いの努力して築き上げてきた空間が次々と紹介されるのですが、当人はそれを当たり前のように思っており、主人公も特に抵抗なく受け取ります。
 我々は実は知らず知らずに縄張りを持っているのかもしれません。普段寄るコンビニにも、通勤に使う電車にも。ほら、銭湯でいつも使っている靴箱に先に人が入ってたら「なんだよ今日はヤダなあ」って思いますよね? 思いませんか。

 

この人の閾 (新潮文庫)

この人の閾 (新潮文庫)

 

 

 

 

『世界のすべての七月』 ティム・オブライエン

 あとがきで訳者の村上春樹が「オブライエンは下手くそだなあ」という旨のことを書いていて、そこまで読んできた私はすっころんだ覚えがあります。確かに小説の表現方法として分かりにくいし、状況説明が圧倒的に足りていないので、こちらが頑張って頭を整理しながら読む必要があります。
 舞台はあるアメリカの高校のクラス会。ベトナム戦争を経験したクラスメートと、そうでないクラスメート、結婚していたクラスメートと、そうでないクラスメート……回想とクラス会の会場を次々視点移動して話が進んでいきます。ちょっと読み飛ばすと「何の話?」となるのが鬼門です。一本のストーリーではなく、クラスメート同士の関係性がクラス会でどうなったか、もしくは思い出の中のクラスメートは今どうなっているのかという回想小説です。彩りある人生を送ってきたこと、回想によって鮮やかに見せてくれた後に、その回想のヒーローが古い町の体育館で行われているクラス会に戻される……。
 長いですが、読破すると時の大切さと切なさとに何か行動したくなります。

 

世界のすべての七月 (文春文庫)

世界のすべての七月 (文春文庫)

 

 

 

 

 

 

アドルフに告ぐ』 手塚治虫

 漫画です。言わずと知れたアドルフ・ヒットラー、そしてヒットラー青年隊のアドルフ・カウフマン、神戸に育ったアドルフ・カミルの三人の人生の交わりを、主人公が見ていくという構成になっています。本当に手塚治虫は映画が好きだったんだなという映画的手法がふんだんに使われていて、読む手が止まらなくなりました。無駄なエピソードが全くなく、そして意味なく死んでいく人間もいない……。
 手塚作品としては晩年のものなのですが、私は最高傑作だと思います。何もかもが計算つくされ、そしてキャラクターが辿る人生にどこかオチがある。必ず何か精神的にケリをつけて作品の最後でキャラクターが立っている。最後に主人公は三人のアドルフについて思いを寄せるのですが、その終着点が歴史の巨大な流れの跡であり、そこに佇む姿がモノローグと相まって読み終えた後で拍手を送りたくなりました。

 

 

 

 

 

以上です。
このブログは私が読書をしないと更新されませんので、頑張って本を読みたいと思います。
いつの間にか読者数も10人!
ありがたいです。
まあ、読者が1人でも1000人でもやることは変わりませんが。

それから、次の更新からもしかすると拙作『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』の宣伝&解説記事がいくつか続くかもしれません。構想は練ってあります。

ではでは。

何かを読めば何かを思う 1

意図的に腕を痺れさせて、

感覚のなくなった小指を弄んでいると、

まるで死体に悪戯をしているような気分になった。

 

そんな詩ばかりを載せるブログでも良いかなあと思ったのですが、何か読んでいて楽しいネタがあればなあと考えた結果、私は時事問題にも明るくないし、人に教えを説くような身でもないので、読んだ本や聞いた音楽、映画についてを書いていきます。少しでも気に留まるものが紹介出来れば幸いです。

 

 

『ホーカス・ポーカス』 カート・ヴォネガット

どこかの本でスティーブン・キングが「カート・ヴォネガットは推敲の際に一枚一枚を納得いくまで手を加えた」と書いていて、その時から気になっていた作家でした。

初めは彼の『死よりも悪い運命』を読もうとしたのですが、自伝的作品と知って尻込みしてしまいました。作者自身の人生を知ってから作品を読むのは、また味わいが違いますので。

で、この本を選んだのですが、まあ、これもどこまでが創作でどこまでが実話か分からないものでした。

架空の国、架空の歴史を扱っているのに、妙にある政治思想的な部分で偏りがあったり、作者自身の怒りが書き連ねてあったり、その手の白々しさが無い。特にアメリカに批判的な内容を教えているというのが、教え子のタレコミでお偉方にバレてクビになったりというのはどうも想像では作り得ないリアリティがありました。

荒唐無稽でありつつも、それを納得させる空気がある。

自分の人生を語る時ににじみ出てしまうものなのかもしれません。

調べてみれば、この作者はこういう架空設定での自叙伝的スタイルが多いようです。自分を切り売りするというのは、一見して過酷に思えてくるのですが、この作品から漂ってくるのは底抜けの楽観主義。

怒りながらも楽しい(本人はそう思っていないようですが)人生と、フィクションの融合でした。

 

ホーカス・ポーカス

ホーカス・ポーカス

 

 

 

 

 

花咲けるエリアルフォース 杉井光

次はライトノベルです。

知人の紹介で知ったのですが、単巻完結ラノベの傑作とも言える本作です。知人が熱心に推してくるのも頷ける一冊です。出会わせてくれたその方には感謝しかありません。

日本国が二つに分かれて内戦を繰り広げる中、主人公たちはある特別な戦闘機に乗って戦場に向かいます。

主人公のへこませ方がえげつないです。

辛いこと、苦しいこと、考えなければならないこと。

こういう現実は嫌だと思っていても、自分の力じゃどうしようも無い無力感。そういったものを突きつけられた時、読者は物語に入りこんで何とかしようと思ってしまうものなのですね。久々にこういうエンターテイメント作品に出会えたような気がします。

 

 

 

 

ふしぎの国のバード 佐々大河

最後は漫画です。

基本的にこのブログでは漫画は一巻のみしか紹介しないことにします。例えば私は『ハヤテのごとく!』が大好きで毎巻買っていて、毎回ブログを書きたいのですが、それはさすがにしんどく、内容も散漫になってしまうので。

日本紀行』を書いたイザベラ・バードの物語です。通訳の伊藤さんと共に蝦夷を目指す旅をするのですが、一区切り一区切りでちゃんとテーマが設定されており、バードも伊藤さんもどこまでも目の前のことに真剣に新鮮に受け止めていて、読むこちらも飽きません。

旅というのは大抵中頃になってくると記憶が曖昧になってくるのですがね……。

この漫画の登場人物の頬がポイントです。

本当に嬉しそうな顔を、頬の赤みがしっかりと現しているのです。

どこか懐かしく、そして迫力のある喜び方を見せてくれる一冊でした。

 

 

 

おしまいです。

私は人の家に上がるとまず本棚を見る癖があります(失礼)。

その人がどういう本を読むかで人柄が分かるからです。

このブログもそんな風な役割を果たしてくれれば良いなと思います。

それでは、また。

Hybrid Libraryへのエール

前の記事で触れました合同誌Hybrid! ですが、これはそもそも弥生肇さんが有志を募って始めたライトノベル合同誌です。


私は立ち上げ当初は参加しておりませんでしたが、メンバーがかなりの数集まっており、それぞれが力作の短編小説を寄せたことから、この合同誌はかなりの厚さになってましたね。一部では「アルティマニア」(注:ゲーム「ファイナルファンタジー」の攻略本でデータを完全網羅したが故に辞書のような厚さになってしまったもの)と呼ばれてました。

 

最初のHybrid!は一冊で済んだのですが、これ以降、参加者の増加に伴って分冊が常態化してきます。2から4までは二冊組みで別売。コンセプトで参加者を割り振っていますので、二冊のうちの一冊だけを選んでも全く問題ないというスタンスでやられていました。


私が参加しているのは2の「R」と4の「ワールドサイド」ですね。


いずれもやりたいことをやらせてもらって、感謝しております。作品についての感想もちらほらとメールやメッセージで頂き、その反響に嬉しさを感じる時もありました。


先日行われたコミティアにて、Hybrid! 4については在庫が無くなったと弥生さんが仰られていました。そうなるともう4で書いたものは読めないのですかね。少し残念ではあります(追記:お聞きしたところ、Amazonにはまだ多少在庫があるようです)。


そんな風に紙媒体は印刷でお金がかかってしまうので、「在庫切れになったら新たに刷る」というのはよほどの人気が無いとできないことです。


新たに在庫を抱えるのは非常に恐ろしい!


その点、弥生さんが今年立ち上げられた電子書籍レーベル「Hybrid Library」はそういう心配が無くて良いですね。電子書籍ですので在庫の心配もありません。Amazonにていつでも購入することが出来ます。お手軽です。イベントや通販でなくとも手に入ってしまいます。


この「Hybrid Library」が従来のHybrid!と異なっているのは、「合同誌」の体をなしていないという点です。
これまでHybrid!で活躍してきた作家さんや新たに声をかけた人の個人の作品を、一つのコンテンツとして売り出していこうという思いがあるようです。
そうすることで、これまでの1800円ほどの合同誌を一作品ごとに分割して販売するという形になりました。
合同誌の各作品を買い手がチョイスして、それだけを買う……という新しい選択の形が生まれています。
今現在はラインナップも少なく、刊行ペースも速いとは言えませんが、これから確実に面白い作品がリリースされてくると思われます。

 

そこで、九月一日現在、発売されている作品をここに挙げてみました。

 

青春くろーび 「いすみゆつ (著), かじ (イラスト)」

http://www.amazon.co.jp/%E9%9D%92%E6%98%A5%E3%81%8F%E3%82%8D%E3%83%BC%E3%81%B3-Hybrid-Library-%E3%81%84%E3%81%99%E3%81%BF%E3%82%86%E3%81%A4-ebook/dp/B00WPZZ7M4/ref=as_sl_pc_tf_mfw?&linkCode=wey&tag=yay0f-22

 

 

スマイル 「今福エヌ (著), 鴨川彰 (イラスト)」

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB-Hybrid-Library-%E4%BB%8A%E7%A6%8F%E3%82%A8%E3%83%8C-ebook/dp/B00WPZK66Q/ref=as_sl_pc_tf_mfw?&linkCode=wey&tag=yay0f-22

 

 

ダイヤモンドダスト: ―灰になった宝物―「弥生肇 (著), kyuri (イラスト)」 http://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%80%E3%82%B9%E3%83%88-%E2%80%95%E7%81%B0%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E5%AE%9D%E7%89%A9%E2%80%95-Hybrid-Library-%E5%BC%A5%E7%94%9F%E8%82%87-ebook/dp/B0118DBZUQ/ref=as_sl_pc_tf_mfw?&linkCode=wey&tag=yay0f-22

 

ひめとり!「晴丸 (著), みやのより (イラスト)」

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%B2%E3%82%81%E3%81%A8%E3%82%8A%EF%BC%81-Hybrid-Library-%E6%99%B4%E4%B8%B8-ebook/dp/B013JFEN6O/ref=as_sl_pc_tf_mfw?&linkCode=wey&tag=yay0f-22

 

『青春くろーび』は部活青春もの、『スマイル』はやや文学寄りの文芸作品、『ダイヤモンドダスト』はハイファンタジー、『ひめとり!』はラブコメ&バトルの王道ライトノベル
レーベルとして一歩一歩熟成していくように、様々なジャンルを取り揃えておられます。

 

そして、私もこの九月、十月中にはこのラインナップに加えて頂くことになっております。


タイトルは『私たちのバイクの旅と、ささやかながら与えられた救いについて』です。
発売日が近くなりましたら内容について告知させていただきます。

 

 

電子書籍レーベルという新しい試みから拙作を出させていただくこと、非常に光栄に思いますし、またその末席に加わわるということについて、普段の執筆よりも重圧がかかったのは確かです。


ただ、主宰の弥生さんが「いつも通り、好きなものを書いて下さいね」と仰って下さったので、こちらも吹っ切れさせていただきました。これまで書きたかったこと、書けなかったこと、そして書いてみたいなと思ったことを精一杯ぶつけました。


原稿そのものは、もう今年の初夏ごろには完成していたのですが、そこから鬼のようなチェックが入りまして、書いては直しの繰り返し、リサーチのやり直し、キャラ造形の検討し直し……キリのない修正作業がありました。


特に用語の使い方、助詞、句読点の検討箇所は多かったです。


打ち合わせ中も「こんな細かいところ、気にする人居るんですかねえ」とお互いに一回以上はぼやく場面があり、その度に「出来ることは全部やろう」と気を取り直すというやり取りを何時間も重ねています。

 

これは私の作品だけではないでしょう。


他の方々の作品も、弥生さんと本文を何度も書き直し推敲を重ねという行程を経ているはずです。
それは全て「多くの人に読んでもらいたい」という思いから……だと弥生さんは仰っておりました。
私も同じ思いです。

 

「売れる、売れない、流行る、流行らない」などなど、色々な声を聞いてきました。
書籍は売れるのか、どんな書籍が流行るのか……電子書籍は流行るのか、売れるのか……。
それを分析するのはとても良いことです。
ただ、それのせいでやりたいことが潰されていくなら、害の方が大きいと私は思います。
綺麗事だけで全てが救われる訳ではありませんが、それでも願わなければどこにも一歩も進めない。
私はこの「Hybrid Library」の取り組みを見るたびに、そんなことを思わずにはいられないのであります。

千里の道も

寒い夏が続きます。

 

はじめまして、一ノ瀬芳葵といいます。

様々な所でこの名前を使って活動しているので、もしかしたらご存じの方、いらっしゃるかもしれませんね。

多くの人にとってははじめましてになるのでしょうが、よろしくお願いします。

それから「一ノ瀬芳葵」という存在について興味を持って、わざわざ検索してこのブログに来て下さった方、いらっしゃるかもしれませんね。

よろしくどうぞ。ゆっくりしていって下さい。

 

直近の活動なのですが、STORIEというサイト様で二本、完結作品を書かせていただいております。

storie.jp

 

 

それから、Project Hybrid!様の合同誌に参加しています。こちら、ご興味がおありの方は、主催者の弥生肇様までお尋ねいただければと思います。通販やっているかもしれませんので。

私はこちらの2のRと、4のワールドに短編を2本ばかり上梓させていただいております。

一本目は、水没した未来のヴェネチアと運河を走る水上列車、そして機械仕掛けの女の子のお話です。割と衝撃的な展開になっていますので、読まれた方は複雑な思いで本を閉じられているようです……。

二本目は、ヨーロッパを下敷きにした架空の国同士の戦争で、戦争捕虜とその兵士との交流を題材にしております。兵士が心を病んでいく様は、今読み返すと少しちぐはぐ感があるのですが、かえって心理的な混乱が描けているような気がしますね。どうでしょうか。

弥生肇さんのサイト↓

http://bestof4seasons.web.fc2.com/

 

そして同じく、「私の艦これ」と「私の艦これ 夏」にも一本ずつ書いております。こちらは艦これに興味の無い方もいらっしゃると思うので子細を省きますが、武蔵の短編と響の掌編となっております。弥生さんのサイトで確認いただければと思います。

 

ざっくりですが、近況としては以上となります。